ここ数年で盛り上がりを見せている関西のボートロックフィッシュ!
オオモンハタをメインに狙う釣りになりますが、これがなかなかこれまでの根魚のイメージからかけ離れていて、釣り方を知らない方は釣るのに苦労される事かと思います。
今回の記事では、梅雨~秋にかけて最盛期を迎える、南伊勢~尾鷲エリアのボートロックフィッシュを紹介します。
狙える場所(レンタルボート店)
今回ご紹介するのは、三重県の南伊勢~尾鷲のボートロックです。
現状、乗合船などで専門に狙わせてくれる遊漁船はエヌテックマリンさん位しかなさそうです。
ですので、レンタルボートから狙う事となります。
このエリアは複数のレンタルボート店があるので、好みの場所を選ぶといいでしょう。
私が行ったことがあるのは下記です。
各レンタルボート屋さんの詳細は、
に寄稿しておりますので、そちらをご参照ください。
ここに挙げたレンタルボート屋以外にも複数あるので、各検索エンジンでお気に入りの所を探してみてください。
テクニック
大型のオオモンハタ・アカハタを狙うには、ガシラ(カサゴ)やソイ、アイナメなどの根魚とは違う概念を持ってこのオオモンハタと向き合わなければなりません。
ロックフィッシュと聞いてイメージしがちな釣りというと、ボトムをトントンと叩いたり、岩礁の穴や隙間にリグを送り込むような釣り方となります。
しかし、この釣り方ではどうしてもガシラや小型のアカハタ、たまに小型のオオモンハタが混ざる程度の釣りになってしまいます。(それはそれで楽しいですが。)
今回ご紹介するのは、あくまで中~大型のオオモンハタ・アカハタを狙って連発させる為の釣り方です。
きちんとパターンを見つけるまでバイトは遠いですが、その日のパターンを見つけると良い釣りができる事と思います。
ポイントを選ぶ
まず第一に、レンタルボートで一番釣れない理由は
「ポイントを知らない」
という事です。
普段おかっぱりから、美味しそうな沖磯や降りれない地磯を見ているとどこもいいポイントに見えますが、そうではありません。
実際には岸際は座礁の危険が多く、接近することが難しい場合があります。
また、これら根魚については岸際よりも沖の根回りの方が魚の数もサイズもいい事がほとんどです。
事前にレンタルボート店から釣れるスポット・漁礁の場所を聞いておくといいでしょう。
また、GPS魚探がある船をレンタルできれば問題はないのですが、GPSがついていない船もあります。
レンタルボート店で聞いたポイントをグーグルマップ等でマークしても、中々いいポイントに船をつけ続ける事が出来ません。
ですので、事前に海図のアプリである 海釣図Ⅴ に有料会員で登録しておくことをお勧めします。
航海用ではありませんが、地形変化や暗礁などが詳細に掲載されています。
航行の履歴も取れますので、釣れたポイントをブレなく流し直し続けることが出来ます。
さて具体的なポイントについては、このような形の根回りです。
当たる水深については日によって、時間によって変わりますが、10~50mラインでこのような根を見つけたら狙う価値は十分にあります。
他にも岩礁に囲まれたワンドなども狙い目です。
加えて、ベイトフィッシュの存在も重要項目です。
魚探に映るベイト反応も当然チャンスタイムですが、釣りをしながら水面のざわつきや、水中に小魚のウロコが散っていないかなどをよく観察しておきましょう。
ベイトを確認出来たら、高い確率でバイトがあります。
ポイントを流す
ここでもレンタルボートと船頭がいる釣り船の差が出ます。
船頭は釣りをせず、ベストな角度で船を流し続けてくれます。
レンタルボートに乗る人は、全員が釣り人です。
全員が釣りをしたいので、できるだけ操船せずにいい角度で船を流すには...
パラシュートアンカー(シーアンカー)を持参してください。
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片弦にパラシュートアンカーを付けておくと、もう片弦は必ず潮下になる為、多少は釣りがしやすくなります。
テクニック
キャストの方向
根魚は必ず潮上を向いています。
ボートが流されていく方向に向かってキャストしてください。
すると、魚にルアーの尻から追わせること、つまり自然な泳ぎを演出すること出来ます。
キャストの距離はできるだけ遠投してください。
40m以上、できるだけ遠距離に飛ばせることが出来ればいいでしょう。
リトリーブ可能な距離を長く保つことで、後述する追い食いバイトのチャンスを増やすことが出来ます。
フォール
二つの考え方があります。
一つは、ラインの浮力を使ってリグに上昇の動きを与える釣り方です。
潮下にキャストする事でフォール時にラインが潮の流れ受けて、図のようにラインが孕みます。
コレによってリトリーブ時にワームの軌道が上昇しやすくなります。
(もちろんリトリーブが進行するにつれてラインの孕みは減少します)
これには①根掛かりの回避 ②上に向かって逃げるベイトフィッシュを模す事が出来る という利点があります。
このラインの孕みを作るために、ワームをボトムまで沈める時はフリーフォールにします。
着底の把握の為に、ラインの挙動に注意してください。
確実に底取りをすることが少々難しいですが、慣れればわかります。
もう一つは、テンションフォールでできるだけ海中のラインをまっすぐにし、できるだけレンジキープすることを方法です。
この際は、底取りのカウントダウンを行ってください。
ざっくり底までのフォール時間が分かれば、着底までの残り5~10秒はフリーフォールしてください。
少しでもラインが立ちますので、若干の根掛かり回避になります。
巻き始めて底を切ったあたりで鋭いジャークを入れると、より水中のラインがまっすぐになります。
このテクニックが生きるシチュエーションは、主に二点あります。
一つは、潮変わりのタイミング、つまり流れの向きが違う潮が差すタイミングです。
もう一つは、冷たい雨が降った後など、水温の違う水が差すタイミングです。
これらの状況下では、ある一定層から魚が上へ上がる事を嫌がることがあります。
ですので、この場合はレンジキープを強く意識する事が望まれます。
リトリーブ
着底したら、すぐにリトリーブを開始してください。
ボトムステイは①根掛かり②リリースサイズの根魚が釣れてしまう可能性、③ベラにワームをかじられてしまうというリスクがある為、不要です。
リーリング速度は80~100cm/秒程度、つまり1秒1回転程度のスピードを基軸により速く、より遅くと試してください。
しかし、遅すぎるとボトムステイと同じリスクを負う事になりますので、
リールを5~20回転させ、次のアクションを考えます。
その戦略は主に2パターンあります。
一つは、即座にフリーフォールする事です。
追ってきた魚の視界からルアーを消すイメージでフォールさせてください。
フッキングに至らないショートバイトが多数ある時、つまり高活性時にワームに急いでバイトする為に深いバイトに至っていない時に有効です。
リトリーブを止めると同時に素早く大きく竿のテンションを抜きながらベールアームをフリーにして、可能な限りフォールスピードを上げます。
魚に追っていたワームを再発見させるとバイトが深くなります。
もう一つは、リーリングをストップし、少しワームを漂わせるように竿をサビいてやる事です。
これはバイトのレンジが深く、リーリングスピードが速いとバイトが無くなる時、つまり低活性の魚がルアーを追いきれず、アタックしきれずにいると判断した場合に有効です。
使用するワームのウェイトや形状次第で、滞空時間が変わりますので、竿でサビくだけでなく、スローリトリーブをすることも検討してください。
以上、リーリング⇒フォールの繰り返しです。
バイト~フッキング
バイトは明確です。
リーリング中にガツッとバイトが出ます。
向こうからのフッキングに至るまではリーリングスピードをキープして待つ方が良い事が多いです。何度もバイトしてきます。
この為に、ドラグセッティングは1~1.5kg程度にしておくといいでしょう。
ドラグが鳴るくらいに強いバイトが出た時に、スイープフッキングに持ち込みます。
ガツンとフッキングを入れない理由は、根ズレによるラインの傷みが懸念されるからです。
このようなバイトを待つ必要がある理由は、群れで追い食いし、ワームに対して急いでバイトをする為、ワームが口の中に入り切っていない事が考えられるからです。
ジグヘッドリグは、魚の口に完全に入り込んでから吐き出す時にラインに引っ張られて口に掛かります。
この釣り方では、魚はリグを吐き出しながら反転するので、大体魚のカンヌキ(上顎と下顎のつなぎ目、と言いましょうか)に針掛かりします。
数回のバイトを耐えている間、頭の中でオオモンハタがワームを狂ったように奪い合っていることを想像して楽しんでください。
バイトがなくなったら再びフォールさせますが、この際は底取りしません。
この時のフォールのさせ方は、リトリーブの項で説明した内容に準じて魚の活性に合わせて選択します。
バイトがあったリーリングの後に行うフォールには、魚がワームをすでに咥えこんで、次のリトリーブ開始から強烈なファイトが始まることもあります。注意しましょう。
ファイト~リリース
オオモンハタは意外と根に潜りませんので、落ち着いてファイトしましょう。
使用するジグヘッドのフックが太く、柔らかい竿を使用する事から、フッキングに自信が無ければフックをフトコロまで刺しに行くようなファイトを心がけると良いと思います。
ファイトが落ち着いても、決して力を使い切ったわけではありません。
水深のある所でヒットすると、ある一定の水深より巻き上げると(水深10mくらいかと)急に今まで以上の激しいツッコミが始まります。
特に根回りでヒットした際は、ラインに傷がついている事が多く、このタイミングでラインブレイクなんてこともあり得ます。
ランディング後、キープしない魚についてはエア抜きをしてリリースをしましょう。
浮き袋の刺す位置はエラ蓋の尖ったところと胸鰭の付け根の中間くらいです。
そのあたりを目掛けて、エア抜き針を1cm程度刺してください。
刺さったら、魚を水に浸け、空気の抜けが鈍化した程度の所でリリースをしてください。
魚の手当、リリース後はリーダーのチェックを忘れずに。
使用するタックル
ロッド
「触った感じ」だけで話をすれば、ボートロック専用ロッドの7ft台のスピニングロッドが良いでしょう。
しかし、何でもかんでも専用ロッドを揃えられるアングラーばかりではありません。
しかも、ボートロック専用ロッドを取り揃えている関西の釣具店はほぼありません。
ということもあり、私は他の竿の代用をしています。
今の時点ではチューブラーのティップランロッドを使用しています。
この釣りにおいて竿に求められるのは、ある程度のキャスティング性能と「ロッドの追従性」です。
バスロッドのMHクラスでも試してみましたが、追従性が足りずフックポイントを魚の口に残しきれていないと感じる事が多々ありました。
色々試してみた結果、手持ちではティップランロッドの追従性が今の所マッチしています。
レングスは7~8ftクラスが良いでしょう。レンジコントロールがしやすいです。
上記の項目を満たすのはやはりロックフィッシュ専用ロッドとなります。
しかし、何でもかんでも専用ロッドを揃えられない事を考え、釣り仲間と協議して関西圏で手に入りやすい兼用ロッドを考えたところ、
「マダイの一つテンヤロッド」
が一番代用にふさわしいという結論に至りました。
これに準ずるロッドがあれば十分に代用可能ですので、一度釣具店で触ってみてもいいかもしれません。
手持ちの竿で一番近い感じの竿を選択できればいいでしょう。
他にお勧めするのであれば、Mクラスのエギングロッド、シーバスロッドとなります。
但し、エギング・シーバスロッドはレングスが8ftを超えている物が多いので、船中の取り回しに注意が必要であることを付け加えておきます。
リール・ライン
PE0.6~1号を200mほど巻けるモノで、実用ドラグが3~6キロ程度の物。
シマノの番手でいうとC3000~4000クラスになります。
ギア比は慣れた物が良いです。
選べるのであればハイギアの方が手返しの面で有利ですし、クイックな誘いも可能です。
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ラインについて、50cmクラスの根魚を0.6号で釣るというと細く感じますが、実際ほとんどの場合根から離して食わせる事や、根に潜りにくい事、起伏の激しい根回りにはそもそもエントリーできないので、十分です。
ラインの浮力を使う為、潮の受け方の調整をする必要があるので、ラインの太さは1.0号まで使い分けます。
根掛かりが多発するようだったらラインを太くし、少しでもリグを早く浮かせる事を心がけてください。
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リーダーは16~20lb程度、長さは1ヒロ程度でいいでしょう。
選択するロッドによりますが、ガイド径が小さいロッドだとキャスト時に絡めてしまう方も多いので、あまりリーダーは長くない方が良いと思います。
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ワーム・ジグヘッド
ジグヘッドは20~50gクラスを揃えておいてください。
ブレードを装着する為、アシストアイがついているタイプが望ましいでしょう。
私が好んで使うのは、スイミングテンヤです。
浮き上がりがいいので、オススメです。
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また、ブレードはアピールの向上もしますが、それ以上にフォールスピードの調整という意味合いが強いです。
数種用意しておくことがベターですが、釣りが複雑になるようだったら2センチ程度のウィロータイプのブレード(簡単ブレードNORMAL M/メジャークラフト)だけでもボックスに入れておいてください。
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続いてワームですが、シャッドテールタイプのワームを使います。
ピンテールタイプ・カーリーテールも用意しておくと水の抵抗感の変えてスイミングのレンジやスピードを変える事が出来ますが、今の所2種のシャッドテールタイプワームをチューニングして使う事と、そのカラーバリエーションを増やす方がその日の答えにたどり着きやすいように感じました。
その2種は
・バルト4インチ/エコギア
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・パワーシャッド5インチ/エコギア
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です。
使い分けは、ベイトのシルエットに合わせる事が一番わかりやすいですが、
・フォールスピードを稼ぎたいならパワーシャッド
・ショートバイトが多いならパワーシャッド
・バイトが遠いならバルト
・縦方向の動きにバイトが集中する時(つまりボートからの距離が近い段階でバイトがある時)はバルト
といった具合に明確に使い分けるシチュエーションがあります。
前述のチューニングについては「テールカット」です。
水を受ける部分を完全に切る/半分切るくらいのチューニングですが、これで引いて来れる層が随分と差が出ます。
ただしアピール力が落ちるので、周囲にベイトが確認でき、バイトのスポットがある程度絞れている時に活用してください。
カラーの使い分けについては
・晴れているとき⇒シルバー系
・曇っているとき⇒グロー・パール系
・ベイトが少ないとき⇒ゴールド系
・レンジが低いとき⇒ゴールド・グロー系
・ベイトが多いとき⇒シルバー・パール・グロー系
これを目安に使い分けますが、パターンから外した方がバイトが増える事もあるので、あくまで目安です。
ようは3パターン程色を揃えておくといいでしょう。
最後に
ここ数年で南伊勢~尾鷲エリアのオオモンハタ・アカハタの数は増えているという話はよく聞きます。
しかしながら彼らは成長の遅い根魚です。
釣ってキープされてしまえば、その数はまた減少を辿るでしょう。
必要以上に持ち帰ることは慎みましょう。
キープの基準としては
・オオモンハタ⇒40cm以上
・アカハタ⇒30cm以上
この基準でも十分に釣果を期待できるポテンシャルが、この釣り、このエリアにはあります。
節度を守って楽しい釣りをしましょうね!